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フルビア(Fulvia) スペック
1953年のデビュー以来、ランチアのロワーレンジを担ってきたアッピアに代わるモデルとして'63年に発表。
基本的には、その3年前に発表されたミドルレンジのサルーン、フラビアを小型化した設計だが、エンジンはランチア伝統の狭角V型4気筒とされた。そのV4ユニットはアッピア用OHVとは全くの別物で、バンク角はシリーズによって微妙に異なるが、最初期モデルでは12度53分28秒である。
Vバンク頭上の2本のカムはそれぞれのバンクに対して吸/排気を担当、結果的にはDOHCに相当する高度な設計であった。横置きリーフスプリングを巧みに併用したダブルウィッシュボーンのフロントサスペンションや、4輪に奢られたディスクブレーキなど、'60年代の小型サルーンとしては余りにも贅沢な設計と上質なつくりは当然のごとくコストの急騰を招き、結果的にランチアの経営を苦しめることになる。
このモデルからはカロッツェリア用シャシーの用意は無くなったが、'65年に自社デザインのクーペと、カロッツェリア・ザガート製のスポルトが正式なバリエーションとして加えられた。ランチアは、'69年 10月を以ってフィアットの傘下に入り、フィアットのコンポーネントを利用して設計されたニューモデル、“ベータ”が登場した1年後、'73年にフルビア・ベルリーナは生産を終了した。
1965年にフルビアに追加されたクーペは、小型で前後左右とも極めて視界の広いボディと、同 じくコンパクトながらトルクフルな狭角V4エンジン。そしてトラクションの伝達に優れるFFで、生来ラリーカーとしての類い稀な素質に恵まれていた。
ラリー創世記からFFのポテンシャルに目を付けたことはすごいことです。
そこ でランチアは、FIA・WRCへの参戦を期してホモロゲーションを目指したエボルツィオーネ“HF”を製作、'66年に発表した。標準型クーペのデビュー と同時に1216ccまでスケールアップされた狭角V4エンジンは、HFでは88PSまでチューンアップ。ノーマルのクーペでは、上質なつくりのため 960kgにも及んだウェイトは、エンジンフード、ドア、トランクリッドなどのアルミ化、ガラス類はプレクシにするなど大幅なダイエットで、実に 825kgまで減量されていた。
1967年には、標準モデルのモデルチェンジに合わせてエンジンを1298ccにスープアップしたエボリューションモデル、 ラリー1.3HFが登場。更に'69年には1584ccにスープアップされた1.6HFに進化する。後年、名将と呼ばれることになるチェーザレ・フィオリ オが率いたワークスチーム“ランチア・スクアドラ・コルセ”に託された1.6HFは、'70年代前半のWRCチャンピオンシップで大活躍を見せた。'72 年、遂にランチアに念願のコンストラクターズタイトルをもたらす。
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