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テーマ(Thema) i.e.ターボ スペック
'80〜'90年代を通じてランチアのトップレンジを占めたプレステージサルーン。
テーマは、ランチア、フィアット、サーブの3社間のちにアルファロメオを加えた4社間で基本的に同じシャシを使った中型セダンクラスの開発プロジェクト「ティーポ4」から生まれたものである。よって、フィアット・クロマ、サーブ9000、アルファロメオ・164とテーマは姉妹車と呼べる。
ボディスタイリングはデルタで最高の仕事を果たしたジョルジェット・ジウジアーロのイタル・デザインに委託された。
インテリアも、上品なデザインである。内装のトリム生地も極めて上質なもので、ファブリックは高級紳士服メーカー、エルメネジルド・ゼニア社製、オプションのレザーはイタリアの高級家具メーカー、ポルトローナ・フラウ社製の上質な革表皮が採用された。
ボディは当初サルーン一本だったが、のちにピニンファリーナがモディファイを担当した極めて魅力的なエステートワゴンが追加される。
'88年には初のマイナーチェンジが行なわれ、主にヘッドライトとスモールライトが上下2段に意匠変更を受けたと同時に、2リットル4気筒DOHCユニットがターボ、NA 共に16バルブ化された。
また、デビュー以来“借り物”のPRVを搭載してきたV6モデルは、'93年に施された2度目のマイナーチェンジの際にフィアット・グループの至宝アルファV6に取って代わられ、同時に新V6は8・32に代わるトップモデルとなった。後継モデルとなるκ(カッパ)のデビューに合わせて、'95年に惜しまれつつラインナップを去った。
テーマのデビューから遅れること2年、1986年に発表されたテーマ8・32は、フェラーリ308 クアトロ・バルボーレ用のV8・4OHC32バルブ2926ccエンジンを詰め込むという、奇想天外なアイデアの下に造られたモンスターサルーンである。
特に目立たない4ドアスポーツセダンで終わったモデルが一躍脚光を浴びることとなったのは同じフィアット系列のフェラーリ・308GTB用のV型8気筒エンジンをデチューンし、FF車の狭いボンネットに無理矢理押し込めるように搭載したことによる。
ロードカー用のV8エンジンとしては非常に珍しかった308GTB/GTS用の180度クランクは通常のV8エンジンと同じ90度クランクにモディファイされるほか、吸排気系やカムプロフィールにも若干のデチューンを受けて215PSとされた。
エクステリアからノーマル・テーマと判別できるヒントは、フェラーリのような格子のラジエターグリルに5本スポークのアロイホイール、そして任意で上下できる可動式リアスポイラー程度と非常に慎ましい。
フェラーリのように数字、指針共に赤く光るメーターは一個一個独立してウッドのパネルに組み込まれ、ダッシュパネルも手縫いのステッチが美しいレザー張りだった。
当初はランチア・テーマ・フェラーリという車名も検討されたが、御大エンツォ・フェラーリの強硬な反対で譲歩、結局8気筒32バルブを表わすこのネーミングに落ち着いたというエピソードも残っている。
日本でも1990年からマツダ系列のオートザム店で販売された。ただし、当時はバブル景気のまっただ中であり、エンジンだけに飽きたらず、本物のフェラーリを買う客が大勢いたために、注目は浴びても販売台数は伸びなかった。なお、1992年の最終モデルチェンジの際には、V6エンジンはアルファロメオ製となっており、こちらは別の固定客の心を掴んでいる。
今後生まれることの無い奇跡のセダンでしょう。
ランチア テーマ 8・32 1986年 スペック
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